小山慶一郎さんのピアス

ピアスが好きだ。

わたしが通っていた高校は校則の厳しいところで、今どき珍しいスカートが膝下、携帯持ち込み禁止などの規則が多々あった。
もちろん抜き打ち、月に一度の身体検査もあり、スカートの折り跡や、眉毛の手入れなど厳しいチェックを入れられていた。
そのうえ生徒会にも入っていて、化粧やアクセサリー、学校内でスカートを折ることなどから無縁の生活を送っていた。
その反動からか、規則から解き放たれた時にやりたい、と思ったのがピアスを開けることだった。
一番身近にいたピアスの開いている知人に相談をして、開けてもらった。
注射は勿論、痛みを極端に嫌うわたしにピアスを開ける勇気があったとは未だに信じられないが、それほどピアスには魅力的で抗えない何かがあったのだろう。
金属アレルギーではないものの、皮膚が弱いため、落ち着くまでかなりの時間を要した。
膿み、痛み、定着するまでは面倒だらけだった。
今ではもうふさがることも無い上に、定着してしまえば頑丈なので大きな問題も起きていない。
休日はここぞとばかりにいつも色んなピアスをつけている。
洋服もそれなりに好きだが、いかんせんセンスが皆無であり、ピアスのようにそれだけで完成された可愛さと世界観があるものは妙に安心感をくれる。
一番持っているアクセサリーはピアスだし、これからも増えていくだろう。
昨日もピアスを買い、友人にもピアスを貰ってしまった。

好きなのはピアスそのものでもあり、自分でつけることでもあるが、つけている男性も好きだ。
女性のつけるピアスと男性のつけるピアスが違うぶん、男性のピアスに感じる魅力も女性のそれとは違う。

はじめてトーキョーライブで小山慶一郎さんを魅力的だと思ったとき、本当に今更ながら片耳にピアスをつけていることに気がついた。
一年前までは「あ、アナウンサーのロケかと思ったらNEWSの小山さんだ」くらいの認識でエブリーを見ていた人間である。
勿論ピアスの有無に気付くはずも無い。

小山慶一郎さんを追うと、彼の片耳にはいつもピアスがあった。
NEWSでいえば、手越祐也さんのほうが穴の数やつけているものの華美さで目立つといえば目立つ。
元々顔も王道のジャニーズフェイスなのでさまになっている。
けれどわたしは、小山慶一郎さんのシンプルで小さいピアスに心惹かれた。

手越さんの負けず嫌いなところや向上心が豊かでファンの王子様になってくれるところが好きだ。
加藤さんの小説は言葉選びが秀逸だし、余りにも美しすぎる容姿とくしゃりと笑う顔が好きだ。
増田さんの一貫したアイドル精神とやわらかい歌い方と言葉より態度で示す姿勢が好きだ。
NEWSのほかの三人にも魅力的な面が沢山あるはずなのに、未だに小山さんを目で追ってしまう。

一応FC申し込みの際に、応援しているアイドル名のところには小山さんと書いてはいたがまだ迷っている自分がいるような気がしていた。
一番好きなのかもしれない、と改めて気付いたのは先日の夜会の予告。
偶然リアルタイムで見ていたら、小山さんと加藤さんが映っていた。
ただ、わたしはスタジオゲストには小山さんしか来ていない、と思い込んでいたのだ。
改めて予告を見たらばっちり加藤さんが映っていたというのに。
それほどまで、意識せずに小山さんだけを見ていたらしい。
無意識というのは本当に恐ろしい。

こうなったきっかけのひとつに、小山さんがピアスをつけていた、というのがあることは間違いないと思っている。
生放送の報道番組で培った安定したトークや頭の回転、切り替えの速さ、魅力的としか言いようが無い微笑み。
とにかく全ての小山慶一郎さんの魅力を感じるとき、いつもわたしは彼の耳朶にふと目をやる。

若かりし小山慶一郎さんは茶髪で、髪も長くて遊ばせていて、いかにもピアスをつけていそうな男性だったりする。
それはわたしにTouch Me Nowや木更津キャッツアイの櫻井さんを彷彿とさせた。(ちなみにTouch Me Nowのように白いニットを着た男性がわたしは大好きなのでLIFEOFNEWS冒頭や雑誌等々で頻繁に見かける小山さんの姿は最高だ。)
若かりし小山さんのピアスは似合うだろうという若さになじんだものであって、どこかちゃらちゃらとした印象が強く感じてしまった。
今の小山さんは報道に相応しいヘアスタイルで、スーツの似合う大人の男性。
そんな彼がピアスをつけている事実をギャップ、と評するのは容易だ。
もしギャップに惹かれたと言うならば、キャスターとアイドルのふり幅や、アイドルの衣装やその他のアクセサリに目をやっても良いはずである。
けれど、どの小山さんを見ても顔やスタイルや衣装などで写真を見ながらつい耳朶に目をやってしまう。
それは、年を重ね、見た目的な意味でも落ち着き、多種多様な仕事をするなかでも、ひとつ耳朶に開いた穴は彼がNEWSでありアイドルであることをいつ何時も示しているような気がする。

ピアスは体に穴を開けないとつけることが出来ない。
アイドルという作り上げた状態でしか見ることの出来ない存在は自分と同じ人間であるはずなのにどこかバーチャルだ。
2.5次元のような存在でも耳朶にひとつ、ピアスを通すための穴が空いていて、わたしの耳朶にも穴はある。
たったそれだけのことで、会ったこともなければ一生話すこともない一方通行で思っているだけの相手とは思えない近しさを感じてしまう。
彼のピアスは、NEWSの小山慶一郎さんを知って好きになっていく過程の中で、強すぎる主張ではないながらにいつもそこにあり、それが目に入るたびに、妙な安心感と喜びを覚えるのだった。